もりわじん絵日記 2002. 5
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5月11日 (土)  [209] 病気

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5月11日曇り
へえ〜体は女で心は男なんだ!
いろんな人がいるもんですね。
性同一性障害っていう病気なんだって。
……病名がわかったり病気だったんだとわかったりすると人は安心する。
逆に安心したいから病名を作る……
生き物同一性障害とかあって、実は猫だけど心は人間なんです。
私は人間のようですが心は神なんです、私を信じなさい。
地域同一性障害ってのは、実はオイラ、都会に住んでるけど心は田舎ものなんです。
国同一性障害ってのは、実はあたし、生まれも顔もアジアンなんだけど心はニューヨーカーなんです、あたしあたし心はパリよ、なにいってんのあたしはずーッとハワイよ、あたしグァムがいいわ、やっぱバリ島よ‥
言語同一性障害ってのは、やってるのにやってないっていうやつかな。
あたし、年とってだれも相手してくんないババァだけど心はまだほんの生娘なんですよ。
わたし、生きてるんだろうけど心はつまんなく死んでいるんです、先生ー。
オレは人殺しでいじわるなんだけど心は平和の事しか考えてないんだ。
ブスだけど心はホントにきれいなんだから、あたし。
これから先、いろんな同一性障害やその他の聞いたことない新病名がいっぱい溢れて、だれひとり病気じゃない人はいなくなるだろう。
ひとつの障害が治ったとしてもまた次の障害にあたる。
あ〜あ、みんな病人だ。
地球は大きな病院だ。
その頃いったい医者なんているんだろうか?
彼が医者です、けど心は患者で悪党なんです。
‥あの人はいろんな病気を煩っているけど、心は澄みきった青空のように健康な人だね‥


5月10日 (金)  [208] 感謝

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5月10日雨
雨が数日続くというので、昨日はあせって庭にほっぽりだしてある使えそうなサクラの木の枝をタワシで磨いて、家の中で乾かし、その後釉薬がけをやり、この間サクラさんから聞いた長時間窯入れをした。
はじめてまる1日程火をつけっぱなし。
どうなるか楽しみである。
疲れているのか、絵の具のフタを開けてて右手の中指と薬指をねん挫?してしまった。
そいでもって今日は、古展ということなので自分の昔の作品で面白そうなのも出しちゃえと、段ボールのガムテープを爪で剥がそうとして、右手の薬指の爪がクニャってそってしまった。
気持ちわりィー、まったく、ちょいと骨弱ってんじゃないの?
でも今日までたいした病気もなく生きてきて、こんな仕事ができて古展なんて風変わりなものもできて、いろんな人に見てもらって、なんという幸せ者なんだろう‥
ホント感謝しなくっちゃね‥などとまじで思ったが‥
でも、この場合だれに感謝してるんだろうか?
お客さんだろうか?スタッフだろうか?親だろうか?国だろうか?運命だろうか?神仏だろうか?この不可思議だろうか?‥
……このような感覚の感謝はだれかにしているのではありません。
感謝とは、自分の力だけで生きているのではない、を知った時に生じる控えめさの事をいうのです……
あっ!鉛筆。
額縁のはいっている箱になくなったと諦め忘れてた鉛筆いっぱいあった。
ははははは、こんなとこにあったのか。
嬉しいね、半年ぶりです‥感謝したせいかな?
それにしても筆を持つと指がいてぇー
女性の叫び声が聞こえた‥まったく、国境なんてないものなのに。
……また意味のない殺人をしようとしています。
何のための国境ですか?
何のための民族ですか?
人をしばるためのものですか?
恐怖でしばるのは、感受性も知恵もない出来損ないのロボットのやることです。
悲しみや憎しみをあおってどうなるのですか?
だれもがどんな国家にもどんな民族にもどんな権威にも付き従ったり妥協したりすることのない自由人・地球人であるということを心の奥底から感じ知ることです。
これは真実です……
あ〜あ、心もいてぇー


5月9日 (木)  [207] 宮沢賢治

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5月9日雨
いつもそうなのだからそうでもないだろうが、今回の作品は早くみんなに見せたくて‥もしかしたらこのまま死んでしまうのではないだろうか?とドキドキしている。
そう言いながら去年のスォススも無事クリアーし今回の新作(古作?)がでてきたのだから、次もあるだろうとは思う。
わし、もしかして命かけて作ってんのかね?
とやや自惚れてる所に、心のオアシスアタゴールの森のチェシアネコさんからメールが来た。
「やっほーいつも、日記よんでます。
わじんさんの、心が
振り子のよーで、面白いです。
古展、みにいきたし、と思っております」
ぜひ来て、ホントだよね、ふらふら揺れている。
ついでだから宮沢賢治まで思い出してしまった。
ちゃんと人の話は、あらゆることを 自分を勘定に入れずによく見聞きし そして忘れず 猫と草木といっしょにいて
東に頭病気の人あれば いっていっしょにへらへらし
西に浮かれた女あれば いっていっしょに踊り
南に死にたいような人あれば いって笑い飛ばし
北にいらつきや身勝手があれば いって間違ってるといい
あっちに行き過ぎたら 気をつけるべー
こっちにき過ぎたら ア〜面倒だー
みんなにやんちゃハゲ坊主と呼ばれ
ほめられるわけもなく
苦になることもあるので相手されず 浮き世離れしちゃってさ
ふらふら柱時計の振り子のように いつもまん中の見たこともない透明な重力に誘われ 今この時を知らせながら生きる
もう決定した そっちへいくな あっちへもいくな
これらはみんな正しくない
小さな自分を区切ることのできない この不可思議な心象宙宇の中で
もしも正しい願いに燃えて 自分と人と万象といっしょに 真の愛に至ろうとする‥
すべて寂しさと悲しさとを焚いて 人は透明な軌道を進む
草木よ草木 いよいよ青く 雲はますます縮れて光り
かっきり道は東に曲がる
‥みんなー歌ったり走ったり跳ね上がったりするがいい‥‥


5月8日 (水)  [206] 窯屋さん

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5月8日晴れ
窯のフタの接続部が壊れたので、窯屋のサクラさんにきてもらった。
きれいにつかってて嬉しいね、ありがとうね。
終わってから、庭でお茶をした。
サクラさんと会うのは窯買って以来だから5年ぶりかな。
あの頃は、サクラさんの話長くて面倒だったが、最近粘土のことも少し解るようになったので、習いたての子供のように粘土話が面白い。
代々粘土を扱ってきたからだけでなく、ホントに粘土や釉薬のことに詳しく何でもかんでも知っている。
それだけでなくとっても好きでたまらんのだろうね、ホントに粘土を楽しんでいる感じだ。
聞いててますます粘土の世界に吸い込まれていきそう。
もぐさ土は1000度になると普通の土と違い膨らむのだー
えー!
石膏はもう一度砕いて粉にして焼けばまた使える、これが焼石膏だー
へえー!
楽焼きはがんがんに燃えた窯ににいきなり器を入れ15分ぐらいで取り出し水につけるとあの抹茶腕の渋い黒がきれいに出るんだー赤なんかもすごくきれいなんだよー
えー!
ベトナムのカメづくりは面白いどー
へえー
カオリンはオーストラリアのがよくって、ホントに見事な白なんだー
へえー
粘土は地球ができた時から長い年月をかけて作られたもので石油なんかと同じ限りある資源なんだー
えー!
などなど、話は尽きない。
陶芸こころざし少々解るようになった方ならサクラさんにあうといいよ。
話し途切れないけどすこぶる楽しいよ。
帰る時、お金は?といったら、いりませんだって。
えー!わざわざ東京の下町からきてくれたのに、今どき来てもらうだけで出張代とかいってけっこう払わなきゃいけないのに。
ホント不思議ないい人だ、アフターケアがモットーとはいえ買ったのは5年前だよ‥んー涙が出る。
なんか、みんなにすすめたくなるね、この窯、とってもコンパクトでGOOよ。


5月7日 (火)  [205] 地しばり

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5月7日雨
朝から雨、窓から庭を眺めた。
傘さした錦木が見え、踏み石の近くに小さなかわいい草が見える。
黄色い花を咲かせるものだが、今は雨で閉じて黄色い丸になっている。
最初この草、僅かしかなかったがどんどん広がっている。
この草、かわいい葉っぱなのに『地しばり』というなんともすごい凶悪そうな名前。
そこまで強烈な忘れることもない名前をつけることないのに‥
…植物学者Kは、かわいい葉っぱだなあと、自分の庭で眺めてた。
見るたび、だんだん広がり庭中がこの草におおわれた。
芝生みたいでいいのではと思ってかまわないでおいた。
ある夜、軋む音とともに首を絞められるような悪夢に襲われた。
目を覚まし、首を触ってみたらあの草がついていた。
起き上がり、軋む音がする庭を眺めてみた。
庭中のあの草が、月明かりに、すくっと立ち上がり動いていた。
ひもをしばったり結んだりするような格好で、キュッキュ、キュッキュと踊っているように見えた。
Kは寝てるのに首絞められた悪夢で、こいつら地面をはって何もかもしばり殺してしまい、我々人間も‥やばい草だと思ってしまった。
この頃、まずいことにKのまな娘が家出してSM嬢をやっているとのうわさを聞いたばっかりだったのだ。
う〜くそ〜お前の名前は『地しばりむちパシパシロウソクタラタラ』だーと書き残し死んでしまった。
しかし、弟子達がそれではあまりにもということで『地しばり』だけにしたのであった…ちゃんちゃん。
僕なら、あら、かわいい、と思い『ヤサシクシバッテアゲマソウ』と名付けるのだが‥ちょっと長いかな?
この草にとってはとんだ災難だった。


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