5月7日 (火) [205] 地しばり 5月7日雨 朝から雨、窓から庭を眺めた。 傘さした錦木が見え、踏み石の近くに小さなかわいい草が見える。 黄色い花を咲かせるものだが、今は雨で閉じて黄色い丸になっている。 最初この草、僅かしかなかったがどんどん広がっている。 この草、かわいい葉っぱなのに『地しばり』というなんともすごい凶悪そうな名前。 そこまで強烈な忘れることもない名前をつけることないのに‥ …植物学者Kは、かわいい葉っぱだなあと、自分の庭で眺めてた。 見るたび、だんだん広がり庭中がこの草におおわれた。 芝生みたいでいいのではと思ってかまわないでおいた。 ある夜、軋む音とともに首を絞められるような悪夢に襲われた。 目を覚まし、首を触ってみたらあの草がついていた。 起き上がり、軋む音がする庭を眺めてみた。 庭中のあの草が、月明かりに、すくっと立ち上がり動いていた。 ひもをしばったり結んだりするような格好で、キュッキュ、キュッキュと踊っているように見えた。 Kは寝てるのに首絞められた悪夢で、こいつら地面をはって何もかもしばり殺してしまい、我々人間も‥やばい草だと思ってしまった。 この頃、まずいことにKのまな娘が家出してSM嬢をやっているとのうわさを聞いたばっかりだったのだ。 う〜くそ〜お前の名前は『地しばりむちパシパシロウソクタラタラ』だーと書き残し死んでしまった。 しかし、弟子達がそれではあまりにもということで『地しばり』だけにしたのであった…ちゃんちゃん。 僕なら、あら、かわいい、と思い『ヤサシクシバッテアゲマソウ』と名付けるのだが‥ちょっと長いかな? この草にとってはとんだ災難だった。 |