もりわじん絵日記 2010. 1
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1月26日 (火)  [2921] 親父返し

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 こういう気の配りが建具屋さんの真骨頂だ。板戸の裏には飾り釘をつけて見えないオシャレをしていたり、玄関の中間にある親父返しと名付けた格子扉の細工は実にうまく美しい。親父返しと名付けたのは、父親が勝手に仕事中アトリエに入らないようにするため。神社仏閣にあるねずみ返しのような類いだ。親父がすっ転んで落ちるわけじゃないけど。


1月25日 (月)  [2920] 技3

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 建具屋さんにも直しのために何度も来てもらった。けっこうおしゃべりで、考えていることを口に出しながら仕事する。細部まで行き届いていて言われなきゃ気付かない気を使った箇所がたくさんある。倉庫の大扉のすきま風予防。裁縫室の襖の裏の取っ手。これは聞いていて面白かった。襖というものは開けて、閉める時に取っ手がもう一枚の襖に重なるので取っ手が使えなくなる。そこで押し入れ側の襖の裏に余分に取っ手を付けたわけだ。


1月24日 (日)  [2919] 技2

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 そんな棟梁だから賑やかなパーティなんかにはもちろん来なかった。パーティ後、時々コチラの注文で直しにくるが、ぶっきらぼうで愛想悪いし、こまい仕事はけっこう雑だ。僕が建設会社の担当にアレは雑だと文句を言ったことがある。その時、大きいところはあの人が一番だと言っていたことを思い出した。今となっては、内部の柱や梁、木の組み方などの構造は見えないから、棟梁の腕の凄さは解らないわけだ。棟梁に酒の一升でもあげなきゃならんなと思った。


1月23日 (土)  [2918] 技

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 最近はハウスメーカーから指示されるだけで楽しめる建物はない。四角ばっかりでこんな複雑な建物はない。皆機械のように作業するだけだ。こんな家に関わった設計屋も大工も内装屋もみんな楽しんだろう。大工や職人は幸せだ。おじさんはいい家を見せてもらいとても楽しかったと言って帰っていった。


1月22日 (金)  [2917] 凄腕2

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 棟梁は神社仏閣の類いと同じ難しさがあったために三分の一の模型まで作った。おじさんはたびたび現場に訪れてはどうやって作るのかを眺めていたそうだ。そろそろ上棟祭も始まる筈なのになかなか始まらないので、やはり余程難しいんだろうと思ったらしい。おじさんは棟梁に話しを聞いた。ぶっきらぼうで無口な大工もぼそっとこう言った。図面を見た時、腕が鳴ったと同時に一週間よく眠れない程悩んだ。一生に一回巡り会えるか分からない家だ。その時、図面を見せてもらったが、どうやって作るのだろう、こんなものに挑戦するなんてすごいと思ったらしい。


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