5月31日 (土) [546] さあ、かえろう
雨降り。 猫のトイレを掃除し、体操し、傘をさして金魚やメダカにエサをやり、木々を眺めて歩き、ヨンダイの墓に手を合わせる。 畑ではズッキーニが巨大な花を咲かせていた。 絵日記に無邪気だったヨンダイにありがとうと描いて、さて悲しみを乗り越えるぞーと外見ながら遅い朝食をとっていたら、こんな雨降りで和室から見える風景がヨンダイの墓のある桜の木の下辺りなので、心にも雨がザ−ッと降り、どうしようもないのはわかっているのだが、残念で無念で悔しくって‥ SS(寂しい せつない)の故郷では、子供などが事故とかで外で死んだりすると、母親が白いさらしを持って事故現場にいき、子供をおんぶするようにさらしを自分の体に巻き結び‥「さあ、かえろうね」‥って、いう風習があるんだって。 ‥うっ、なんと!すごい。 いやいや、せつないねぇ〜 ワシなんかペットの猫が死んだだけ。 子供を無くした母親なんて‥ほんとに、どうやって立ち直るのだろう‥ よく映画や小説でとても悲しい内容を見たり読んだり聞いたりして辛かったりするが、あれは、知識や情報を頭に入れて増やしている行為。 しかし、大切なものを失う悲しみというのは心にポッカリ穴があき、減るようなもの。 小説や映画を見る事とは、まるで逆なんだよね。 そのポッカリを記憶や知識で悲劇を作り、また埋めることはない。 一生懸命埋めようと大量の知識を使ったところで、宇宙空間にもひとしいこのポッカリを埋める事は出来ない。 せっかくポッカリすっかりきれいになった頭に余計なものを入れる必要はない。 このポッカリこそ死や愛を通してしか感じる事の出来ない静寂なのである。 静寂の中、絵付けでもしてみる。 ‥絵の具の色がとってもきれいに見えた。
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5月30日 (金) [545] 無邪気
朝、ゴミを捨てにいった序でにヨンダイが横になっていた所にいってみる。 ヨンダイの毛が落ちていて道路には血の跡があった。 ヨンダイの毛を拾い集め道路を渡ろうとしたが車が何台も結構なスピードを出して通る。 人間のワシでさえしっかり右左右を見て注意して渡らないと危ない。 これじゃぁヨンダイなんかひとたまりもないだろう。 道を渡ったとこのクリーニング屋さんの話しなどから昼前頃轢かれたようだ。 クリーニング屋さんとこにはメス犬がいて、ずっと前に子犬を生んで母犬だけ鎖につなぎ子犬は母犬の周りを無邪気に遊んでいた。 2ヶ月になった頃、子犬は小学生が通るのについていこうと道路に出て車にはねられ死んでしまった。 母犬はショックでエサも食わず毛が全部抜けていきなり年をとってしまった。 いまだに子犬を轢いた車の色を覚えていて、その色の車が通る度に吠えるらしい‥ クリーニング屋さんの隣がちょっと崖になっていて、その上にひとんちの大きな畑があり、そこをまっすぐ越えた所に自分の家の玄関がある。 ヨンダイは冒険心で玄関からまっすぐ畑を突っ切って道路まで出てきてしまったのだろう‥他の猫は、そこまでいかないのに。 ヨンダイの毛を持ち帰り桜の木の下に埋める。 自分が可愛がっていたものの死は不思議なリアリティがあり、たぶんそれぞれその瞬間の本人にしかわからないものだろう。 なぜなら、みんなの日常は普段と変わりなく続いているのに、自分の内部は悲しみよりも大きな大きな空虚感でいっぱいでもはやいつもの日常ではないからだ。 この空虚感を満たそうと脳は何度も何度も記憶や知識を組み立て感情をのせ涙の悲しみを創作する。 が、それはもうリアリティではなく、作り物のマイドラマだ。 …やる気とはもともと体にないもので、やって初めてやる気が出るもの… 畑造りをする。 汗とともに空虚感の中から優しさのようなものが少しずつ湧いてきた。 夕方作品に絵付けをする。 あ〜ヨンダイの無邪気な空気をひとつひとつの作品にしっかり込めて創ろう‥ ほんとにいい顔が作れそうだ‥ ヨンダイ、ほんとにほんとにありがとう。
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5月29日 (木) [544] つらい
午前は、昨日絵日記に書いたようにつらい事故。 まったく、ヨンダイはやんちゃでほんとに冒険に満ち満ちてたものなぁ。 バイク好きで暴走して事故死した少年みたいなもんかね。 モミジなんか、ほとんど家からでない引き籠りみたいなものだし、猫も人と同じでいろいろだね。 ヨンダイ、生まれて派出所に捨てられ、ゲリピーで肛門赤むくれで、金玉取られ、あっという間に死んじゃった‥金玉付いてたらもっとやんちゃでどこかの高速道路までいってたかもね。 年とってボロボロなって死ぬんだったら、あ〜やっと楽になれるねと心残りもないのだが、僅か1歳で楽しい盛りに事故で死ぬってのは、もったいない、うっ!つらい。 ヨンダイが迷子になっていなくなったとしたら、どこかで元気に生きててくれと思い涙は流さないだろう、かしら? ヨンダイをだれか遠くの人にあげたりした場合ならまったくつらくはないだろう。 ヨンダイに会えないという意味では全部同じなのに‥ どこでもいいから生きていてさえくれたら、こちら側は納得ゆくのだろうか? 昔見たイタリア映画で『穢れなき悪戯』というのがあって、赤ん坊が教会に捨てられちょっと大きくなりキリストの像と話しなどしていて、最後にキリストさんに連れられて天国にいっちゃうとても悲しい涙涙の話しだ‥ ヨンダイも会う事の出来ない遠い所にいってしまったのだろう、それとも帰っていったのだろうか? しかし、このつらさがいつまでも続くとしたらそりゃア気の病というものだろう。 このつらさはひとつの感動で、この感動にいつまでも浸っていたい‥それは猫を哀れむ心というよりは、大切なものを失った、もうかわいかわいが出来ない自分が空しく可哀想なのだろう。 ア〜可哀想な自分、という自己憐憫だろうね。 今晩は酒でも飲もうっと。 こうやってつらさを酒で誤魔化す気持ちもわからんでもないね。 あ〜あ、それにしても今日はつらい。
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5月28日 (水) [543] バイバイヨンダイ
我が家のベッド、ぐっすり眠れました。 ヨンダイがベッドの下に寝ていていっしょに声を出して起きた。 ヨンダイがここで寝る事はないのに、どうしたのだろう? 一週間旅行に行っていたので寂しかったのだろうか? そのままヨンダイはどこかに出かけ‥昼になっても帰ってこない‥夕方、エサの時間になっても現われない。 夜も帰ってこないので、猫ドアを開けて寝る。 5月29日午前、庭いじりしてたらピンポーンが鳴り近所のクリーニング屋のお母さんが猫が車に轢かれていると伝えに来てくれた。 夜に轢かれたのだろう、道の脇に横たわり目を開き舌を出し、ヨンダイは硬くなっていた。 この間タヌキが死んでいたのを見た時は血や内臓に気持ち悪いと感じたが‥ ヨンダイは、抱きかかえてほおずりしたい程だ‥ そのままヨンダイを抱いて家に帰り長靴履いてスコップを持ち桜の木の下を掘る。 近所の人に声かけられたりしたら辛いので、サングラスをかけ黙々と掘る。 でも、サングラスに涙がたまり目の前がボケてとても掘りづらい。 このままいつまでも掘っていたい気持ちです。 ヨンダイの体の大きさに穴を掘りヨンダイを寝かせ、SSがお別れしながら手でパラパラと土をかける‥ず〜っとかけ続けている。 土を盛り石を置き、昨日の夜エサ食わなかったのでSSがなぜかとっておいたエサを置く‥もちろんポチくんがそのエサを食べた。 ヨンダイが初めて雪を見て戯れているのを描いた絵日記の絵を取り出し額に入れる。 この間の花見の時に友だちが撮ってくれた写真も額におさめる。 ヨンダイは去年の10月にここに来たから、生まれたのがその何ヶ月か前だとしても、まだ1歳になってない‥短い命でした。 ‥しょうがないよな〜ヨンダイ冒険好きでよく道路まで出てたもの。 なぜか、もっとちゃんとコミュニケーションしとけばよかったなぁ〜などと思った。 猫が死んでこんなに辛いのだから、自分の子や親や友人が死んだらなおさらの事だろう。 戦争など、もう、よそうよ。 あ〜あ、とっても悲しいです、つらいっす‥バイバーイ、ヨンダイ‥
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5月27日 (火) [542] 出発
沖縄から帰ってまいりました。 大変楽しかったっす。 帰ってきて、どうせ絵日記に書く事といったら粘土いじりと庭いじり。 やや刺激と変化をつけるため、沖縄で書いていた日記を書きます。 『5/22、さて沖縄へ出発。 朝5時に目が覚めてしまい、もう一度寝るが30分おきに目が覚める。 かなりひさしぶりの遠い旅に興奮しているのだろう。 朝やる事済まして猫を家の中に入れようとしたが、ヨンダイが帰ってこない。 しょうがないので、猫ドアをオープンにして出かける。 バス乗って電車乗って何回か乗り継いでゆくのだが、ここに引っ越してきてから始めての羽田空港なので、しどろもどろあたまどろどろ。 やっと羽田空港に着き、オ〜!こんな所だっけ? 天日が入る茶店でビールを飲む。 久々にドキドキに参加してるので瞳孔開きっぱなしで周りの新しい情報をバンバン入れてる‥こりゃア、疲れるわ〜 ANAの団体カウンターにいき、FAXで貰った引き換え券を渡してまともな搭乗券を貰う。 搭乗手続きをするためリュックやズボンのポケットの中のものを出して荷物検査を済ます。 なんか、すーっと楽になった。 ここまでが難関だったみたい。 そうだよね、チョットでも遅れたりしたら旅が台無しになってしまう、時間に思いっきり左右されてるんだよね。 さあ、無時間になった頭で空を飛ぶ。 久々の飛行機、あんまし心地よくない。 引力に逆らって浮いているこのでかい機械に身を任せているって事が、不安のたまものなのだ。 しかし、着陸した途端、陽気になってしまうから現金なもんだね‥ 着いて、旅人と会い、りっかりっか湯という温泉があるというので入り、のんびり沖縄料理三昧で泡盛を飲む‥海ぶどうと島らっきょうに感動』 とまあ、初日はこんな感じ。
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