12月8日 (水)  [3236] 公美堂49

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 高野さんは大先生のやることなすこと心得ているらしくアヒルが描かれたキャンバスに近づいて行き、アヒルキャンバスをイーゼルから外し、持ち上げ、くるっと回転させ、逆さまにイーゼルに置いた。大先生はそれを暫く眺め、また、か細い声で「ン」と言って今度は右手に持った筆を左に回転させた。高野さんはキャンバスを元の位置に戻した。大先生はそれから何も言わず僕らがいることおかまいなしに絵に没頭し始めた。これで僕らは用無しかいな? 絵の具一本持って車で一時間近くかけてキャンバスくるっと回すだけで帰る。帰りの世田谷の成城の家並み、この家々の中には苛つきながらむっつりだんまり右手を回すだけで生活できてるジジィやババァがわんさと住んでいるのだろうか?