11月16日 (火)  [3214] 公美堂38

20101116-1.jpg

 空虚や退屈よりは見知らぬ路地を緊張しながら歩いていた方が、まだ救われる。しかしやはり誰もが言うようにどこへ向かっても心の空虚感が満たされる事はない。引き蘢りで外部を見ようとせず内面ばかり見る事に慣れていた長男は初めて思いっきり現実の深い空虚を直視することになる。虚しく疲れ、街を吹き抜ける冷たい風や冷たい人の視線を浴びる。冷気が日常になった時、腹が空いてなくても生々しく明確にリアルな暖かい母親を思い出す。暖かさが心を過るその一瞬、嗚咽する程泣き叫び吐き出しきれることのない寒気と弱気をいつまでもいつまでも吐き出そうとする。