10月28日 (金)  [1380] 王様

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新聞買い散歩。ぐっると近所を廻ってゆく。天気もいい。で、ついでに、ハゲだけど近所の開店前の美容院によって、おしゃべり。なんか、売れもしない絵を描いていた頃の事を思い出した。
あの頃、前世が王様の画材屋さんに、毎日のように歩いて出かけていった。画材屋には絵描きなどが集まるから、なにかと情報が入るのでサロンのようになっていた。っていったって、集まるのは暇なナマケモノから毛をむしった様なやつらばかりだけどね。ここの画材屋さんがなんで王様かというと、別に建物がすごいわけではない。路地にあるボロ汚い長家の一部で玄関は4枚のガラスの木戸で立て付けがひどく悪い。8畳ぐらいの店と奥に3畳ぐらいの居間に1畳の台所、そのまま2階に部屋があるけど薄暗い。貧乏。初めてこの店に来た時、ワシ22歳、店主27歳。油絵を描きたいのです、と言ったら、おまえ素人か、ほら、この絵の具やるよ、と、汚れたり固まったり油がはみ出た様な不良品の絵の具をいっぱいくれた。おまえ呼ばわりに、舐められたようで腹立ったが、金のないワシにとっては、じゃァ、貰ってやるわ。で、油絵はどうやって描くんだ、教えろ、と言ったら、適当な事教えられた。その後、数年で、その時の絵はボロボロになった。とりあえず都合のいい画材屋なので通う事となった。腹が減ったら、画材屋に行って、メシ食わせろ!お茶!ばんばん絵を描いた。時に、この画材屋さん、ワシを泊りがけで温泉連れていってくれたりした。こんな事親以外にしてもらった事がない。で、最近、思ったのだが、彼のあの振る舞い方、見ず知らずのワシに普通のメシだけでなく高い寿司や焼肉、それに温泉旅行盛り沢山。ただの貧乏画材屋で、そんなに金があるわけでない。なけなしの金なのに。って事で、彼はたぶん前世が王様なのだ。それも石油王かなんかだろうな。顔が日本人離れしていてまるでアラブ系だから。ってことは、ワシの前世は裸の王様に出てくる王様を騙している服売りだったりして‥