9月19日 (日)  [981] この世の果て

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 晴れ。
ハハの誕生日だ。あの出鱈目な父親の女房だ。そうか、ワシもパパもママもみんな乙女座なんだ。今、伊勢展に乙女座という新作だしているけど、ちょうど乙女座の時期なわけだ、ふーん‥
母親はやくざもんの親父と違って血筋はいい、お嬢さん育ちだ。多分流行りの電髪かけて若い子集めて羽振りのいいちんぴらだった親父に誑かされたのだとは思うが‥。母方の家は昔地主でお蔵にどっさり高価なもんがあり、先祖は政治家だったらしいというから、親父も金目当てだったのだろう。子供の頃、母親の実家に行った時、自閉症で空間意識が乏しいせいもあるが、バカでかい屋敷に驚き、家の中で方向を失い迷ったり、お蔵が寒々として異様で近付けなかった。そういやバカでかい三毛猫がいたな。ワシ、この家が気に入り、まだ学校にも行ってない子供の癖に、親から離れ一人で何日もここに泊まった。ワシ、子供の頃は一切言葉を発っせず半知恵おくれに思われていたみたいで不気味なガキだったから、放っておいたのだろう。普通なら親から離れているのだから泣いてしまうのに‥。実を云うと、この家にはきれいな服を着たワシとかなり歳の離れたいとこのお姉様がいたのだ。ワシの家には年頃の女性というものはいないし、家から出た事無いワシはそんなもの見たことが無い。この母方の実家の周りは見渡す限り田んぼ。映像に浮かぶ風景は秋だろう、金色に輝き波たつ稲の中を歩くお姉様を黙って眺めている。生まれた家とこの家しか知らない自閉症でしゃべれないワシは、その稲の向こうはこの世の果てだと思っていた。たぶん、ワシと黄金の中の美しき女性以外はこの世にいらなかったんだろうね‥ハハ