12月2日 (月) [385] 足どり 朝早くまだ少々暗い、オーオーオーオーと消防車の音。 ‥寝てても、パトカーと救急車と消防車の音は聞き分けるみたい。 目を覚まし、トイレの窓から外を見る。 そんなに遠くではないので歩いて火事現場を見に行く。 今日は晴れだ。 小学校の体育館の裏あたりの建物が真っ黒になってもう鎮火していた。 なんだろう、あんなところ、放火かな? 体育の授業中、跳び箱跳べずみんなに笑われ、ボケで誤魔化したものの本音は悔しくて悔しくて、怒りまくりんこ。 ジーッと立って眺めていたら、警官と目が合った。 オレは放火してない!オレは違う!オレじゃなーい! ‥なんで、ワシが心の中で叫ばなきゃあなんないのよ。 道路は通勤の車で渋滞しているというのに、バカがこんな朝早くからのんびり火事なんか眺めているからか? 犯人は現場に再度現われるなどというから、尚の事‥オ、オレは無実だー! 「ねえ、ねえ、あそこにあるの焼死体じゃない?」 どれ?どれ? 人は事件が好きだ。 警察は事件がないと退屈になり、消防士は火事がないと力を発揮できない。 才能あるものは自分の才を誇示できる場がないと沈み込む。 皮肉屋・批評家は他人のあらを探せないと生きがいを失う。 政治家・軍人は争いや戦争がないとつまらなくていらつく。 人は何かと無理矢理仕事を作りでっち上げ、内面を見るゆとりや静かな時間を恐れ逃げる。 そして疲れ、歳とったら引退して静かにゆっくり内面を本当の自分を見ようと思うのだが、老いと共に自分を観るエネジーも枯れていることに気付かない‥そして死。 家に帰り、また一つ年末年始の展覧会が増えたと電話。 よっしゃー、縁起物喜ばれる時期、福と笑いを滑稽にばらまくか。 と、目的を見ない自分の足どりで、今日も1日暮らす。 |