12月18日 (火)  [77] ばあちゃん

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12月18日くもり
近くにレジャータウンが出来たので、父親と一緒に車でいく事にした。
タウンの入り口につくと車を降り、ここからはこのタウン専用の車に乗り換える。
その車はガソリンなどは使用せず、空気を吐き出しながら専用の道路を走る。
その道路は、ジェットコースターのようにうねうねしている。
ここは、とっても広い所で車で1時間ほど眺めてもまだほんの僅かだ。
映画館に入った。とても面白かった。
お腹がすいたのでレストランを探す。
何食べようかな?これは食べたくないな、あれがいいかな、これは珍しいな、あれは美味しいかななどと言いながら、たくさんのレストランを迷い巡った。
いろんな催し物の建物もあり映画館もたくさんあった。
この映画見ればよかったなあ、あの映画もいいなあ、こっちもいいな。
とにかく今は食事だ。
何を食べようかな?ここにしようか?それともあれ食べようか?
目の前にばあちゃんがいた。父親の母親だ。
ばあちゃんが僕に向かって「お前に美味しいものあげたくて、待ってたんだ」と言う。
何かなあ?
ばあちゃんは変な形のベンチに座り、小さい蓋のない木箱を出した。
25cm×20cmぐらいで高さが4cmぐらい。
箱の中には、櫛やびん止めやヘアピン、ボタン、輪ゴム、爪切り、裁縫鋏などが入っている。
掃除する事もないので、爪やゴミが底にたまっている。
その中にまじって餅が一個あった。
醤油をつけてちょっと焼いたような5cmぐらいの平たくて丸い餅だ。
ずいぶん古いものだが腐っているわけでは無さそうだ。
ばあちゃんは片目が見えないので一度餅をつかみ損ねたが、「ほら、うまいから食べろ」と渡した。
僕は餅のゴミやホコリをとり、じっと餅を見ていた。
父親もそれを見ていた。
僕と父は泣いていた。
涙が止まらなかった。
ばあちゃんは10年以上も前に92歳で死んだ。
ばあちゃんは、僕が生まれた時からずうーっと変わらずあのばあちゃんで、父はずうーっと父だった。
母もずうーと母だった。
父にとってばあちゃんはずうーと母だったのだろう。
僕の母は今、故郷にいて、ばあちゃんと呼ばれている。