第11回「平成の招き猫100人展」ギャラリー
作品No.001 こんにちは!
(幸せ招きます。)
幅40×高さ47.5cm 素材:紙
猫を制作するにあたって 細かく毛を切ることで きりえの基本である紙をカッターナイフで切って表現する ということへの限界にチャレンジしたい という思いで作っております 更に浮き出るような立体感を持たせる表現と まるで平板で奥行きのない表現との間にきりえの独自性の一端があると思いますので この様な作品になっております。
相原信雄
Nobuo Aihara

きりえ作家


 きりえという言葉が世の中に出たのは、朝日新聞の日曜版に掲載された 滝平二郎氏の絵画作品をそう呼んでからです。
 また 更に初の大規模なきりえの展覧会である全国展は日本きりえ協会が主催して1978年から始まりました。
 私がきりえを始めたのは1981年 1枚の紙をカッターナイフで切って絵にすると言う事に興味を持ったからです。誰に教わることもなく始め 独自の世界を作り上げ今に至ります。
 作品のテーマは、その時々の心象風景(心に見えた景色)ばかりを作ってきました。そこで私は自らの作品を心象切絵(しんしょうきりえ)という言葉で表現することに致しました。
 作り方は スケッチ等により 下絵を描き それをトレシングペーパーに写し そのトレシングペーパーを引繰返してなぞり 切る紙の上に乗せ写す 写した切るための紙をカッターナイフで切り 彩色して 台紙に貼る と言う行程です。
 簡単な説明として ジグソーパズルを自ら設計・制作し自分で組み立てるようなものと この仕事は 刃先に気持ちを込める集中力と根気が必要です。
 そして刃は少しの角度や勢いの違いで全く別の世界を作り出して行くものです ですから下絵があっても同じ様には切れません 色も一緒に作らない限り その時の状況次第で変わってしまいます。似たものは出来ても コピーの様には出来ません。
 紙を切ることに興味を持ってこの世界に入りましたので カッターナイフを駆使することが好きなせいで 時に僅か3〜4センチのポチやたまの顔に数日を要し 蜻蛉の羽も作りますし 葉書サイズの作品・満開の桜の花びら制作に一週間 などと言うこともざらにあります。

1954年 東京・杉並に生れる。
1990年まで都内で活動 その後 山梨・大分・茨城で活動
1981年 独学できりえ始める。井出文蔵氏の教本を使う。 切絵作家との作品を通した交流がなく独自のきりえの世界を作る。テーマはあらゆるジャンルに及ぶが心象風景を主題に掲げ静寂・風の歌・清流の調べ等の自然を昇華し作品とすることを一つの目標としている。
1981年より日本各地で個展やきりえ美術展さらには陶芸家や漆芸家達とのグループ展にも数多く参加
2008年のパリでのきりえ展には日本の象徴として招き猫を出品